回転するバイス

 バイスが回転するとどんなに便利か少し説明させてください
 左上図の加工です、材料は32ミリ角のミガキ材を40ミリに切断後調質しています、ロットは50〜100ですから
大掛かりな治具を作るほどでは有りませんが、マシンバイスではどんなにしても4工程は掛かりそうです、
特に底面から横穴リーマまでの±0.05は直角度も有り精度を出すのが難しい加工です、こんな時写真下段の
ミニクランプを使ったバイス(治具)を作り、回転バイス用ベースに乗せ、0度で底面削りと穴加工、±45度C面取り、
±90度でリーマ穴と加工すれば(加工順は刃物に合わせた回転角度で)直角度も位置関係も正確に3面の同時加工
が出来ます、残り3面も同じバイスで高さと両肩面取り、溝加工、3箇所のM4タップ加工をすれば2工程で完了します。
 この例題はたまたま市販されているミガキ材が使えましたが、材質によっては丸材しかない物や角材でも
黒皮しか無く、一回り大きい材料を使うことが多いと思われますが、例えば42丸からとか35角からでも、
2面を32oの平行に加工し、目視で回転バイスにセットして32o加工から始めることも出来ます。
(但しバイスの口金の巾はクランプと同じ30oとし、2工程目のサイドの位置決め板は両方とも1oの段付にします)
 今回は一回のロットも少なく2個加工にしましたが、回転バイス用ベースを4角に、長さもX軸ぬ許す限り長くして
1面で8個4面で32個の加工も出来ます。(写真のベースは他用途向けに作った物を利用しています) 

下図はある刃物です、直線部分は何処にもありません、切刃の加工を別にすれば回転バイスはいらないのですが、
別に加工するには大変な治具が必要ですから一度に出来る回転バイスを作りました、巾と長さは充分余裕が有りますが
厚み上面の削り代と刃物の研削代を差し引くとつかみ代は2oが最高です、下図では1.5oつかんで2o残して加工
しています、クランプはMVC−25を4個使って1方向にのみクランプしています。
 この方法の利点は基準点をほとんど気にしなくても良い所です、プログラム上の基準点は左下平面図の右下穴の
中心ですが、材料寸法と製品寸法からXYは1o狂っても製品に差は有りません、何だその程度のことかと思われる
かも知れませんが外周と上面を一度に加工すれば、位置決め精度はラフになり多数個同時用バイス(治具)製作が
簡単になります
 ワーク形状にもよりますが前加工も不用になりますので考えて見るのも面白いと思います。こんな加工が可能なのも
「ミニクランプ」の力が充分すぎるほど大きいからです。
 忘れていました,この裏面加工はマシンバイスの口金(生材)にワーク形状の一部3箇所の切り込みを入れてつかみ、
裏面削りと外周面取りをしています。


円形ワークを(回転するチャックとして)加工する

A 14 18 22 25
B 20 36 45 55
左図の加工があります、2個ワンセットで鉄筋のような棒鋼の切断刃物です。
A,B寸法は表のように種々ですが(全部で約10種類)
  加工内容はほとんど同じです
注意点は
    1)切刃先端の芯振れ
    2)A軸のセット穴と刃先の直角度 
    3)セット穴の位置精度 (芯振れと段差からの寸法)です
                                             加工そのものは簡単そうですがA軸をチャッキングして太いB軸を加工するには充分しっかりつかまないとA軸が回転します、      (A軸は熱処理後の研削が難しいので熱処理変形を考慮し0.02の仕上がりです)
 またB軸の切刃とA軸の穴を別々に加工するのも大変です
 こんな時、縦型マシニングセンターでもNC割り出しがあれば   比較的簡単に治具が作れます。                       左図はその治具本体です、右端を割り出し本体のチャックにつかみ 左端をセンターで受けます、その四角面にワークA軸の最大径2個分+ミニクランプ(MHC−25)の幅に合わせ45×115.5の小判型を開けます、(0,5は締代)                         両サイドにはセット穴用の長穴があります、45πはそのまま小さな軸径はブッシュをセットします、
 ブッシュは左図のように外径45π、内径はA軸寸法に合わせ同軸に作ります、
 横穴は夫々のセット穴位置に合わせ大きめにあけます、
 ブッシュが動かないよう、適当な位置に固定用のネジ穴を明けます、(もちろん本体にも)
 最後はスリ割りして完成です
左図で治具の完成です。
 この場合には平行に開くMHC型が良いでしょう、自由に取り出せるので掃除も簡単です                             この説明では2個加工用ですが、重くなりますが1面に4個を裏面にもセットすれば8個、もっと重くなりますが上手に設計すれば4面にセットできるかも知れません。                        しかしあまりに欲張ると、治具制作費は膨れるし微調整に時間がかかるなどなど夫々のお考えで。                      ただ充分注意することは、1面に集中してミニクランプをセットすると使用個数×3000sが加わるので治具が湾曲する恐れが有ります 
縦型マシニングセンターにはNC割り出しは必要不可欠ですね
円形ワークの加工例(写真) 


ミニバイス・ミニバイス台(参考商品)を使用する

ミニバイス
(参考商品)
ミニバイス台
(ミニバイスを載せる)
回転する治具の上にミニバイスを載せてセンター方向のバイス ミニバイス台とミニバイスのセットをセンターと直角に載せて長尺ワークの角度削り等に使用します
ミニバイス・ミニバイス台を使用した加工例(写真)
長尺物の平面研磨

 左図は上の回転テーブルとミニバイスで角度削りをした刃物ですが熱処理をすると僅かでも曲がりが出ます                     これも350の中心付近で約0.4oの曲がりが出ました         これをミニバイスとミニバイス台の組み合わせを4台電磁チャック上に並べ、曲がったままでつかんで研磨しました、一回で曲がりはゼロになりました                                         
作業例(写真)